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2008年4月18日
マンションの耐震改修について その1

地震への備えの必要性

管理組合が行うマンションの地震対策として、1.耐震診断・改修の実施、2.管理組合機能・コミュニティ機能の強化、3.地震保険への加入、が挙げられます。また、各居住者が行うインテリアの地震対策として、4.家具の転倒防止が挙げられます。

管理組合が行う地震への備え

1. 耐震診断・改修の実施
地震からマンション居住者の生命や財産を守るためには、まずは耐震診断を行い、建物の耐震性を的確に把握することが重要です。なんらかの耐震補強の必要のある建物は、旧耐震設計の建物(昭和56年6月1日以前の構造計算)ではその半分に達すると見ています。続いて耐震上の弱点があれば、それを解消するための耐震補強改修を行うことが重要となります。耐震診断・改修の確実な実施により、被害をゼロに抑えることや、想像を超える大規模地震が起こつても被害を最小限に食い止めることが可能となります。なお、耐震診断・改修はマンションの共用部分が対象となります。

2. 管理組合機能の強化
マンションは、共有の財産を持つ居住者のいわば「運命共同体」です。建物ハードの強化だけでなく、ソフト面での管理組合機能の強化も妻となります。日頃から適正な管理を心がけるとともに、いざという時にコミュニティの結束カが発揮できるように準備する必要があります。これにより、被災時〈避難時〉のスムーズな助け合いや万一の被災時における復旧・復興の意思決定の円滑化などが期待できるのです。耐震補強についても、相当な費用がかかるので、後回しにしがちです。理事の方が生命にかかわる重大な問題であることを強気認識して頂きたいと思います。耐震補強に限らず、マンションの瑕疵は、人間の健康と同様に早期発見・早期治療が大原則です。

地域により常に震度7に耐えられる補強はしなくても良い
その土地にある活断層を専門家に聞き、その活動の周期と地盤の状態を良く聞いてください。例えば東京西部にある立川断層の周期は5000年でこれから3000年は地震を引き起こさないと考えて良いでしょう。関東ローム層に厚く覆われた武蔵野台地の地盤は良く、「知られざる活断層」が比較的浅い50キロメートルより浅い所に無い限り(その可能性は相当に低いと考えています)震度6弱以上の地震は無いでしょう。そういう場所では耐震補強も震度5に対応するもので良いのです。このあたりをよく専門家として説明し不必要な過大な補強はしない事が大事です。震度5で震災対策を立てている自治体もあります。いたずらに不安をあおるような言動は専門家としてなすべきではないと思います。
しかし、東海・東南海地震は今後40年以内に発生する確率は80%以上で、マグニチュードも8程度で近海で起きる可能性があり、そういう場所では早急に耐震補強をする必要があります。
知られざる活断層による地震が鳥取西部地震、中越沖地震のように最近も起きているので、震源地が浅い地震の多いといわれる地域では対策を急いでください。
地震に詳しい建築家の話をよく聞くことが大事です。

3. 地震保険への加入
耐震改修の実施により被害の軽減を図る一方で、万一の被災時に備えて地震保険に加入しておくことが望まれます。共用部分については管理組合が加入することになりますので、管理組合活動が適正に行われていることが前提となります。地震保険に加入しておくことで、地震時の彦や家財の警の程度に応じて保険金が支払われ、スムーズな生活復興の助けになると考えられます。ただし、広範な範囲で大被害が起きた時には事実上保険会社の保険金支払は滞るかも知れません。

各戸(各居僧者)で行う地震への備え
4. インテリアの地震対策
建物が安全でも、住戸内の転倒した家具の下敷きになり、負傷をしたり逃げ遅れたりすれば元も子もありません。共用部分の耐震改修にあわせて、各戸で家具の転倒防止などのインテリア(専有部分)の地震対策をしておくことが望まれます。

耐震診断のポイント

建物が倒壊しないかを確認する耐震診断

建築基準法及びその関係規定では、原則的に「ごく稀に発生する(その地域で50年間に10%程度の確率で発生する)震度6強以上の地震により、建物が倒壊又は崩壊しないこと」を安全の確保に必要な耐震性能の最低基準としています。このため、耐震診断の第一の目標は、大規模地震に対して建物が倒壊又は崩壊しないことを確認することになります。通常の健常者が大きな怪我をせずに、生命の危険にさほど晒されることなく有効に避難できることを目指しています。体の不自由な方々の避難には介添えが必要でしょう。
 地震の周期・頻度は地震の専門家でも正確に予測する事は大変に難しくあと1000年は無いと思われていた地震が起きたり、30年はないと思われていた中越沖地震が3年で起きたり(これは地震のエネルギーの放出が中途半端だったと考えられています)地球の事は現在でもさっぱりわ分かっていないのです。

耐震診断の手順

耐震診断は、予備診断―詳細診断(本診断)という手順で行います。

予備診断では、現地での目視調査、設計図書の内容の確認、建物修繕履歴等を確認し、詳細診断の必要性の有無を判断します。この結果を踏まえて、耐震診断計画を作成し、マンションの特性に応じた診断方法や診断の種類を決定して詳細診断を行います。
詳細診断は、建物が保有している基本的な耐震性能、建物平面形状や断面形状、築後の経年数や経年による材料劣化などを考慮して行います。診断の種類には、簡易な第一次診断から、第二次・第三次の精密診断まであり(一般的によく行われるのは第二次診断までです)いずれの診断方法を用いる場合でも、耐震改修促進法(正式名称‥建築物の耐震改修の促進に関する法律)で定められている手法で診断を行うことが重要です。

総合的な耐震診断

従来の耐震診断は、建物構造躯侭が倒壊又は崩壊しないことの確認に重点を置いているため、非構造部材などで構成される避難経路の安全性や設備の機能保持性などは十分に評価されません。その結果、建物の構造躯体には損傷がなくても、住戸ドアや共用廊下、エレベーターなどが被害を受けて避難に支障を来すことや、避難中に落下してきた外装材や飛散した窓ぎフスの直撃を受けるなどの二次被害が発生することが全くないわけではありません。また、設備が大きな被害を受けて復旧に時間を要するようであれば、構造躯体がいくら安全でぁっても、マンション内で日常生活を継続することはできなくなってしまいます。
こうしたことから、建物の構造躯体の安全性だけでなく、できる限り、避難経路の安全性や設備の機能保持性なども含めた総合的な耐震診断を実施することが望まれます。

耐震改修のポイント

耐震改修は、耐震診断により明らかとなった耐震上の弱点や間遭点を解消するために実施します。構造躯体の耐震性能の不足の要匪としては、一般的に、耐力の不足、変形に対する靭性(粘り強さ)の不足、耐震壁の配置や構造バランスの不良、材料の劣化・不良などが考えられます。耐震改修は、現行の耐震基準レベルを満たすことを目標に、こうした耐震上の弱点を確実に解消できるよう実施します。
耐震改修の方法としては、1.耐震補強工法(地震に抵抗できるよう建物の強度や変形に対する粘り強さを高める工法)、2.制震補強工法(地震エネルギーを吸収する制震装置の設置により地震時の建物震動を抑制する工法)、3.免震補強工法(地盤と建物の間にクッションとなる免震装置を設置し地震時の建物震動を抑制する工法)、などがあります。

なお、耐震改修計画を作成する上では、耐震補強による建物外観の変更の程度、日照・通風や専有部分の使用に係る居住性への影響の程度、工期・工程・仮設計画、工事中の窓の開閉制限・バルコニーの使用制限、仮住居への引っ越しの必要性の有無、駐車場の使用の可能性といった工事の施工性などについての総合的な検討が必要となります。

一方、建物の総合的な耐震性の確保に向けては、避難経路の安全性や設備の機能保持性を含めた捲合的な耐♯改修を行うことを最終目標とします。費用負担などの点で、総合的な耐震改修を一度に行うことが難しい場合でも、建物の倒壊防止の観点から構造躯体の安全性の確保は優先して行う必要があります。この場合、総合的な耐震改修の計画を立案し、第一ステップとして構造躯体の耐震改修を行い、構造躯体について現行の耐震基準レベルを満たした上で、第二ステップとして順次、避難経路や設備の耐震化を図ることが考えられます。

耐震改修促進法とマンションの耐麓改修

耐震改修促進法(正式名称・建築物の耐震改修の促進に関する法律)という法律があります。この法律は、昭和56〔1981〕年の新耐震設計法の導入以前に建てられた建築物(昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建築物)のうち、不特定多数が利用する特定建築物(3階建て以上で床面積1000?以上の特定の用途の建物をいう。の所有者に対して、建築物が現行の耐震基準と同等以上の耐震性能を確保するよう耐震改修に努めることを求めている法律です。
マンションは、原則特定建築物にはあたらないため、従来は耐震改修促進法の対象にはなりませんでしたが、法律の改正(平成18年1月26日施行)により、掛稟性の低い建築物の所有者に対する地方公共団体による指導が強化されました。これにより、緊急避難道路(都道府県が策定する耐震改修促進計画により対象となる道路を指定します。)に面し、倒壊すれば道路を閉塞させてしまうマンションに対しては、地方公共団体が指導をすることとなりました。指導を受けたマンションは、現行の耐震基準と同等以上の耐震性能を確保することを目標に耐震改修の実施に努める必要があります。

また、指導の対象とならないマンションであっても、耐震改修促進法に適合する内容の耐震改修計画を作成し、所管行政庁(地方公共団体)の認定を受けることができます。
行政の指導を受けたマンションや耐■改修計画の認定を受けたマンションは、耐震改修を行う際には、建築基準法の関係規定め適用に係る緩和措置や様々な支援措置(補助、融資、税制の優遇措置など)を受けることができます。
耐震改修は、バリアフリー改修などとは異なり、日頃はその改善の効果を実感しにくいものですが、万一の地震に備えて、マンションライフの安全・安心を与えてくれるものであり、マンション管理の基本となるものです。様々な支援制度を有効に活用しながら、確実に耐震改修に取り組むように心がけてください。

管理組合の機能強化のポイント

スムーズな避難への備え

構造躯体が安全であっても、地震に伴いマンション内で火災が発生した場合や、行政による避難勧告(土砂崩れや津波の危険時など)を受けた傾合などは、マンション外へ安全に避難することが求められます。
マンションは、一般的に、どの住戸からも2方向の避難経路が確保されています。日常的に使用している住戸玄関を通るルートのほかに、緊急時の避難ルートを全居住者に周知しておく必要があります。また、避難経路上の共用階段やバルコニーの隔壁(避難時に簡単に壊せるようにできている仕切り板)の前に、物置が設置されていないか、重い荷物が置かれていないか、避難ハッチ(バルコニーに設けられた下階に避難するための開口部で、一般に上蓋を開けてレバーを押すとはしごが降りる仕組みになっている)がきちんと使用できる状態になっているかなど、いざという時の避難に支障を来たすことがないよう、定期的に確認しておく必要があります。これらは管理組合が行う日常管理に含まれる事項になります。
なお、マンションでは、通常年2回の消防設備の点検に加え、居住者の数が50人以上(店舗等を有する場合は30人以上)の場合は、防火管理者を定め、消防計画を作成し、当該消防計画に基づき消火・通報・避難訓練などを行うことが消防法で義務づけられています。こうした消防訓練の的確な実施を通じて、どの部屋にお年寄りなどの避難弱者が住んでいるのかを把握しておき、いざという時に助け合いができるコミュニティ関係惑醸成しておくことが望まれます。

復興時に役立つ備品類の備蓄

耐震性が確保されているマンションでは、大規模地震があっても、避難所での避難生活を強いられ?ほどの大きな被害を受けることは少ないと考えられます。逆に言えば、万一被災したとしても、避難生活を送らなければならないほどの大被害が生じないように、耐震改修をしておく必要があるのです。

ところで、地震後にマンション内で継続して生活できる場合でも、周辺地域が被災した場合は、ライフラインなどが復旧し通常の生活が送れるようになるまで、居住者が助け合って乗り切る必要があります。このため、地震後もマンション内で継続して生活することに備えて、管理組合として備品類を備蓄しておくことが望まれます。特に、大規模なマンションでは、周辺地域が大きく破災した場合は、地域の救援活動などの拠点として機能することが求められ、救助用品や応急処置用品などを備えておくことも望まれます。

被炎時の再建・復旧の円滑化

大規模地震に見舞われ、万一被害を受けたときには、復旧(補修)や再建が必要となります。

阪神・淡路大震災では、被災したマンションを復旧又は再建しようとした際に、不在所有者の所在がつ掴めないため決議がすぐにできない、敷地の一部が分譲主の所有のままとなっていたため再建ができない、各区分所有者がマンションに求める意見がバラバラで復旧や再建がまとまらない、などの様々なトラブルが発生し、速やかな生活再建に支障を来たした事例が見られました。

万一の被災時にこうした問題が起こることになることは、普段は「思いもつかなかった」のですが、日常管理の中で少し意識をしておけば十分に対応できるものばかりです。普段から管理組合としての基礎体力を高め、対策を講じておくことが重要です。

インテリアの地震対策のポイント

地震時の負傷の多くは、家具の転倒やそれに伴う落下物が原因であると言われており、震度5強程度になると、家財道具の転倒や落下物が増え始めます。家具の下敷きになり怪我をしたり、転倒した家具により部屋のドアが開かなくなってしまい、避難時に逃げ遅れたりすることがないようにしておく必要があります。
このため、インテリアの地震対策の第一目標は、家具の転倒やそれに伴う落下物を防止することです。防災グッズを用いて、家具の固定や食器やガラスの飛散防止などをしておきます。

なお、同じ建物であっても低層階に比べて上層階ほど揺れが大きく被害も生じやすいため、↓階の住戸は特に注意が必要です。また、寝ている間に地震が起きると、それだけで逃げ遅れの原因にも繋がりますので、寝室の家具の転倒防止には特に注意を払う必要があります。
インテリアの地震対策の第二点は、家具を必要としない空間設計とすることです。専有部分のリフォームをする時は、造り付け家具やウォークイン・クローゼットを積極的に採り入れ、家具の要らない生活空間をつくり出すこともポイントとなるでしょう。

管理細合が耐震性を大まかに把癒する視点

耐震性を把握するためには専門家による耐震診断を受ける必要がありますが、管理組合がマンションの耐震性を大まかに判断する視点としては、喪に次の三点を指摘することができます。

一点目は、建築時期です。新耐萱準の施行日(昭和56年6月1日)よりも前に建築確認を受けた旧耐震基準のマンションは、地震の被害を受けやすくなります。特に、構造形式が柱と梁で力を支えるラーメン構造の場合は要注意です。壁構造で4階程度のマンションは地震に強く比較的安全です。

二点目は、建物の形状です。平面形状が不整形(T字型、L字型、コの字型など)のマンション、建物階数が場所によって異なるマンション、下階がピロティ(壁のない独立柱)や大きな店舗などで1階に比べて壁が少ないマンションなどでは、構造上のバランスが悪く、一般的に地震の被害を受けやすくなります。

三点目は、立地する地盤です。川沿いの沖積平野の軟弱地盤、地下水位が高い液状化地盤、丘陵地や谷を造成した地盤など、地盤の悪いマンションは、地震による被害を受けやすくなります。

耐震基準の変遷

わが国の建築物の耐震設計の基準(耐震性に関する法令)は、過去の震災の教訓を踏まえて、数度にわたる見直しが行われて現在に至っています。

構造関係の耐震基準についての特に大きな見直しは、次の二点です。

1. 昭和43(1968)年に起きた十勝沖地震で、RC造ラーメン構造の建物で柱のせん断耐力不足によると思われる被害がたくさん生じました。これを受けて、昭和46(1971)年に建築基準法施行令が改正(施行は同年5月1日より)され、RC造の柱の帯筋の間隔が強化されました。従来の「柱の全部につき30∽以下の間隔」から、「柱頭・柱脚部は10cm肌以下、中央部は15cm以下の間隔」で帯筋を配置することが必要となりました。

2. 昭和53(1978)年に起きた宮城県沖地震では、耐震壁の配置や構造バランスの悪い建築物の崩壊、垂壁や腰壁の付いた短柱のせん断破壊、非構造壁の破壊などが多数発生しました。これを受けて、昭和56(1981)年に建築基準法施行令が改正 施行は同年6月1日)され、いわゆる「新耐震設計法(基準)」が導入されました。

耐震診断を受ける必要があるマンション

マンションの建築時期(適用されている耐震基準)、構造・階数、建物の平面形状・断面形状、地盤・基礎など個々の観点から、特に地震に危ないと考えられるマンションとその理由について述べてきましたが、旧耐罪基準のマンションは、まずは耐震診断をきちんと受けることが肝要です。

旧耐震基準のマンション

1. 旧耐震基準のマンションは、建物の形状が整形で、全ての階の戸界壁の位置が同じ区画で構成されるなど構造バランスは良いものであっても、そもそも耐力が不足している場合があるので、耐震診断を受けましょう。

2. 特に、中高層(特に高層)ラーメン構造で、建物の平面形状が不整形な建物(L字型・T字型・コの字型など)、断面形状が不整形な建物(階数が異なる、下階にピロティや区画の大きい店舗などがある)、耐震壁の配置のバランスが悪い、スパン割が均等でない建物、辺長比が大きい細長い建物などは構造バランスが悪く、地震時に倒壊や崩壊などの大被害を生じるおそれが大きくなります。このため、必ず耐震診断を受け、耐震改修を行う必要があります。

3. なお、旧耐震基準であっても壁式構造の場合は、壁量が多いため安全な場合もありますが、材料劣化が著しい場合や地盤が悪い場合などは危険な場合もありますので、耐震診断を受けたほうが安心です。耐震改修促進法では、壁式構造に適用する簡易な耐震診断基準が設けられています。

新耐震基準のマンション

1. 新耐震基準のマンションは、過去の地震被害を教訓とした耐震基準が確保されていますので、基本的に倒壊又は崩壊することはないと考えられます。    

2. ただし、新耐震基準であれば全く被害を受けないということでは決してありません。地震の規模や、マンションの構造形式、構造バランスの程度によっては、損傷などの被害を受ける場合もあり得ますので、必要に応じて耐震性の確認をしておきましょう。                 

(つづく)


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