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三澤氏によれば、日本の住宅は400年おきにその様式に革新が起きてきたという。
西暦元年頃に「竪穴式住居」だったものが、400年頃に「高床式」、800年頃に「寝殿造り」、1200年頃に「武家造り(書院造り)」、1600年頃に「数寄屋造り」が生まれた。そして、現在の「西暦2000年頃」は次の節目だというのだ。
これまでの住宅様式の変遷について、同氏は次のように解説していた。「高床式」に変わった要因は、竪穴式住居の湿気が伝染病の温床になった不衛生な環境の改善だ。「寝殿造り」は、大陸から来た宗教が盛んになって、寺院がモデルになった。
「武家造り(書院造り)」は、武士の時代になって戦争に強い建物をつくるため、火に強い白壁や瓦を備えたのが原型となった。戦国時代が終結する頃になると、わび・さびを基調とする「数寄屋造り」が生まれた。それが今日まで、木造在来工法として続いているという。
では、400年ぶりに新様式が生まれるとしたら、どんなものになるだろうか。木造在来、プレハブ、ツーバイフォー、鉄筋コンクリート造と様々な工法が混在している状況から、どこに収斂するのだろうか。21世紀に入って、社会的要請として最も影響が大きい地球環境問題への対応が、新様式を生むと三澤氏は見ている。
同氏が提唱する200年住宅「HABITA」も、新様式に名乗りをあげているわけだ。その特徴を(1)地場の木材を使用する「地産地消」(2)五寸角柱や1尺梁等の「大断面材料」(3)乾燥の工程を確実に確保できる集成材=「乾燥材」(4)構造材の「現し」(5)地球環境対応、と説明していた。
話題の「200年住宅」は福田首相の肝いりプロジェクトである。この長寿命住宅は、廃棄物削減等の点で地球環境問題に対応している。しかし、それ以上に画期的なのは、平均寿命30年と言われる日本の住宅を「社会資本」または「資産」としてとらえ直し、100年単位で住宅をつくり維持していこうと、価値観の転換を促している点にある。
1980年代に提唱されたセンチュリー・ハウジング・システム(CHS)は、思想的に上記の価値転換の先駆けとなった認定事業だが、これからの長寿命住宅はハード面、ソフト面を一層、進化させながら、「柱・梁・床等の構造躯体と、内装仕上げや設備を分離した、スケルトン・インフィル(SI)構成」、あるいは、それに準じた考え方を共通の特徴としていくだろう。
当初は集合住宅を対象に考案されたスケルトン・インフィルが、戸建て住宅でも長寿命化、耐用性の向上に欠かせない形態として認識され、普及していくに違いない。
冒頭の「西暦2000年頃が節目になる」という三澤説が正しいとすれば、住宅全般に影響を及ぼしつつあるスケルトン・インフィルが、今のところ、新しい住宅様式の有力候補だ。一方で、三澤氏が指摘するように、地球環境問題への対応にも今後、様々な提案が出てくるだろう。省エネ・CO2排出削減等の技術・システムが様式にまで高まれば、これも有力な候補となる。
いずれにしても、地球環境問題の深刻化、人口減少・少子高齢社会の到来、日本経済の成長鈍化、消費者の価値観の多様化の中で、家づくりとそれを担う住宅産業、住宅を社会資本として維持する仕組みがそれぞれ、一大転換期にあることだけは間違いない。
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