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はじめに
マンションの耐震計画は難しいと言われています。目に見えないリフォームであり、何時来るかわからない地震に備えるのは、どうしても後回しになりがちです。でもこれは、命を守る最も大切なことであることを身に染みて理解して頂きたいと思います。現実的な計画についてその概要を述べます。耐震性の評価結果、敷地条件等に影響される施工性、専有部分の配置や区分所有者の特性などを総合的に踏まえて、最適な耐震改修計画を検討する必要が在ります。マンション耐震改修は難しい問題が数多く在ります。充分な経験に裏打ちされた専門家に依頼しましょう。
耐麓性を高める効果的な計画であること
耐震改修の工法には、1.耐震補強工法、2.制震補強工法、3.免震補強工法の三つの工法があります。
最近注目されている制農補強工法や免震補強工法は、改修後の居住性などに影響を及ぼさずに地震の建物振動を抑制することができ、適している建物では採用できれば非常に効果的な工法です。ただし、相対的に工期が長くなりコストも高くなります。
一方、耐震補強工法は、相対的に工期が短く、コストも低いため、マンションで最も採用されている工法です。壁の増打ちや鉄骨プレース(斜材)の設置などにより建物の強度を高める強度型補強と、炭素繊維シートや銅板を柱や梁に巻きつけて変形に対する粘り強さを高める靭性(じんせい)型補強という方法があります。斜材は開口部(窓)の大きい南面などに設置する時は、デザイン的に視覚が邪魔にならないに様にする必要があります。
こうしたメリット・デメリットや建物構造・形状などの条件を踏まえて、当該マンションにおいて適用可能で有効な耐震改修工法を選択し、要求する耐震改修の目標値(震度6強以上の地震)に対して倒壊や大きな破損をしないことを求める現行の耐震基準レベル以上を目標とします。耐震性を効果的に高める計画とする必要があります。
なお、作成した耐震改修計画は、各都道府県の耐震評価委員会による評価を経て、所管行政庁の認定を受けることが望まれます。これにより、耐震改修工事の実施に係る様々な支援措置を受けることが可能となりますます。
工事の施工条件
敷地条件からみた資材の搬入の可能性や工事期間中の現場の使用の可能性、採用する工法の工期・工程、仮設計画、工事中の窓の開閉制限、バルコニーの使用制限、仮住居への引っ越しの必要性の有無など、工事の施工性や施工条件についても検討する必要があります。
現実的な計画であること
建物の耐震上の弱点を解消し効果的に耐震性を向上させる計画であると同時に、マンションの場合、多数の区分所有者の合意形成をする上で、現実的な計画であきとが条件となります。したがって次のような観点も含めて、計画を総合的に検討する必要があります。
1. 建物外観の変更の程度
耐震改修の実施後に者の外観形状が大き遍化しないかどうかの検討が必要です。外観が大きく悪化するような改修は、区分著者の合意を得る上での問題になりやすいため、外観デザインへの配慮が必要となります。
2. 居住性への影響の配慮
耐震補強工法の採用を検討する場合、耐震改修後の日照、通風、眺望などの専有部分の居住性についての検討が重要となります。特に専有部分の床面積が小さくならないかどうかの確認も重要です。できる限り、耐震改修後の居住性を悪化させないような補強計画を検討する必要があります。
また、建物全体の耐震性を向上させるために、一部の階や部分のみを補強し特定の住戸(専有部分)の居住性や使用性に影響を及ぼす計画は、代替案が採れるのであれば避けた方が無難と考えられます。こうした計画をどうしても検討せざるを得ない場合は、居住性が悪化する住戸の区分所有者の同意が得られるよう合意形成に十分配慮する必要があります。
旧耐震基準のマンション
1981年より前に設計された旧耐震基準のマンションは、建物の形状が整形で、全ての階の戸界壁の位置が同じ区画で構成されるなど構造バランスは良いものであっても、そもそも耐力が不足している場合があるので、耐震診断を受けましょう。
特に、中高層(特に高層)ラーメン構造で、建物の平面形状が不整形な建物(L字苧丁字型・コ字型など)、断面形状が不整形な建物(階数が異なる、下階にピロティや区画の大きい店舗などがある)、耐震壁の配置のバランスが悪いスパン割が均等でない建物、辺長比が大きい細長い建物などは、構造バランスが悪く地震に倒壊や崩壊などの大被害を生じるおそれが大きくなります。このため、必ず耐震診断を受、問題があれば耐震改修を行う必要があります。なお、旧耐震基準であっても壁式構造の場合は、壁量が多いため安全な場合もありますが、材料劣化が著しい場合や地盤が悪い場合などは危険な場合もありますので、耐震診断を受けた方が安心です。耐震改修促進法では、壁式構造に適用する簡易な耐震診断基準が設けられています。
新耐震基準のマンション
新耐震基準のマンションは、過去の地震被害を教訓とした耐震基準が確保されていますので、基本的に倒壊又は崩壊することはないと考えられます。
耐震補強の方法
捩れが生じやすい建物、下階が駐車場などの柱だけの建物、短い柱が多い建物、地盤が悪い建物などは耐震補強をする必要が在ります。耐震補強の方法としては、炭素繊維シートの巻き付け、鉄板のジャケッティング(囲い巻き)等がよく使用されます。独立柱だけの部分(ピロティ)にはジャケッティングが使用し易いのですが、住戸部分の柱と壁が一体になっている通常部分は困難になります。バルコニーの外側に、視覚の邪魔にならないデザインでブレーシング(斜材)を用いることも考えざるを得ない場合が在ります。しっかりデザインしなければなりません。デザインが大事なのです。
玄関扉の開閉防止(耐震枠や耐震蝶番に取替え)、屋外廊下、屋外鉄骨階段やバルコニーの脱落防止、エレベーターの耐震対策、エキスパンション・ジョイントの対策、内外装材やガラスの対策、設備機器類の対策や家具の倒壊防止対策など多岐に渡る検討が必要です。是非、経験豊富な専門家に相談して下さい。
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