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15年前、中古2DKマンションを購入しそれまで共同住宅に住んだ経験のない私とマンションとの付き合いが始まる切っ掛けとなった。入居時すでに築後10年近く経過したマンションで,管理組合が自主運営という組織の中,マンション改修の声が上がっていたが,「まとめ役がいない」ことからかけ声だけで遅々として進んでいなかった。積立金についても,改修に必要と思われる金額に達しておらず,根本的なところから見直しが必要であった.その後軌道に乗せるまでに4年が経過した。
マンション改修は,認識不足や複雑な権利主張が入り乱れ,居住者の間で「璧」の一つとなっている。戸建て感覚を拭い去れず,マンションのルールや成り立ちを認識できないことが改修を難しいものにしている。
マンション居住者間にあるギャップを解消するためには,区分所有の原則を周知させ,権利主張に言及するのではなく,柔軟な姿勢が大切で,組織の中の声を反映させる充分な時間を確保し,理解が得られるよう努めなければ改修に至ることはできない。マンションの抱える問題は,住まい方のソフトに起因するものと,老朽化によるハードの部分がある。ハード部分は物理的作業で解決できるが,いささか不十分なソフト部分は,思いのほか深刻である。建築家の資質として,知識や経験を集約し概して技術的なハード部分に終始し勝ちな昨今,改修に至るフローの前段に目を向ける時に来てはいないか。
対話と住まいのカルテ
現在私はそのマンションを転出したが,建築の事情に詳しいということから,管理組合の承認を受け洗足顧問契約をむすんだ。維持保全に関するコンサルティングの一環として、発生している諸問題や、第2時改修の根本的な改善時効を見定めるため、継続的定期的目視等による観察による各住戸の調査カルテを作成することになっている。これは,近々実施の運びで年2回程予定している。定期的なカルテの集積から特性を探ることにより,今後の問題点や展望の把握を容易にし、的確な改善処置を施せるものと思っている。以前、このマンションでアンケート調査を実加ことがある。専門的知識の不足のせいか,曖昧さが残ったと記憶している。アンケートの質問の出し方にもよるが,目安にはなるものの正確なデータ集積には難しいものがある。毛嫌いされがちな立ち入り調査をあえて選択したのはそのためで、全体を見据えるには必要なことである。いわゆるかかり付けの町医者の役を担うわけで,信頼関係や日頃のコンタクトが大切であろう。私の場合,そこに住み顔見知りであったことが幸いしている。
今までのでは,関係のない対話の中にも重要な緒が見えて来とがある。世間話の一つに日常性を見る事が出来,その中にマンションの姿を模索する手懸りが隠されている。
竣工後の適切な治療
経験的に早期発見、早期治療が大事であると思う。取り返しの付かない事態になってからあわてて行なう改修には精神的にも、費用の点でもマイナスが多い。
現在の制度下においてストックの時代と言われてが,建築家の関与の仕方が確立されていない。ユーザーの意思表示に頼るほかなく,関与は空洞化し,潜在化いる。建築が竣工すれば建築家の手を離れ,アフターケアに制約が特にない場合が多い。何もしなくてもよい状況が甘えを生んでいるのではなかろうか。建築は建築家にとって、マンション住民は「自分の患者」であっていい。問題の発生は竣工後にあり常に適切な治療が必要になって来る。
建築家による継続性を持った効率関与システムや制度の開発が待ち望まれる。
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