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2008年8月1日
■質と量を含めた社会資本の蓄積を
ーマンション大規模修繕について感じることー

 我々がヨーロッパの都市を見て感ずる豊かさの一つは古い物が現在までも長く使われているという事でしょう。建築物に限らず道路・下水道・公園等の公共施設が数百年から千年以上に亘って使われているものもあります。
 これは,社会資本が有効に蓄蓄積され、充実している事を意味します。社会資本の育成は必ずしも新たな建設行為のみで図られる訳では無く、現在ある物をより良く長く使用する事でも得られます。20年で壊してしまう施設を60年活かして使用すれば単純に3倍、維持費を入れても2倍以上の蓄積が図られたと言えるでしよう。
 環境問題、省エネ、省資源及び挙が国の急速な高齢化社会を考えた「10戸の新築より100戸のメンテナンス」に依る社会資本の蓄積は効率的にストックを増す有効な手段です。
 形あるものは全て滅びる訳で,よく材料メーカーの営業でメンテナンス・フリーと言う宣伝文句を使いますが、厳密にはそんな材料は有り得ません。(10年位持つのは当然)従って、建物も建設された時点から直ちにメンテナンスが始まり、その良否が建物の寿命を左右します。ヨーロッパの古い建物も、より良く長く使用する為にはそれなりの費用を掛けているのです。

寿命を左右する全面改修工事

 建物、特にマンション(分譲集合住宅)のメンテナンスが問題なのはその膨大な量にも関わらず、専門家の不在と区分所有という特殊手段に依って適切に行なわれていないという現状からです。最近ではマンション管理組合でも認識が高まり、修繕積立金の増額、一時金の徴収等で屋上防水・外壁塗装を中心とした大規模修繕工事には何とか対応している様です。現在行われているこれらの工事には、内容的にかなり問題のある場合も見うけられますが、特に表面化せず、不十分ながらも維持されております。今後重要となるのは、竣工後30〜40年、大規模修繕工事としては3〜4回目に行われる設備を含めた全面改修工事です。防水・外壁塗装だけではなく、設備機器・配管・ダクト類・ケーブル・盤類及び建築の金属類の更新を含めた最大規模の工事となります。この修繕工事の可否が建物の寿命を大幅に左右し、その後建物が再生するか、スクラップ化するかの分岐点となります。
 この場合には、居住者の一次転居が必要で、同時期金員を対象とするのが理想的ですが、最低竪配管系統毎に転居しなければなりません。又工事は各戸の内装にまで影宰を与えますし、当然工事費もそれまでの大規模修繕工事の数倍に及ぶ事となります。

メンテナンスに公的支援を

 現在、修繕稚立金でそこまで考慮に入れ余裕は皆無でしょう。実際経済的負担を考えると、通常の大規模修繕工事にさえ四苦八苦している多くのマンションが、実行するのは非常に困難ではありますが、現状では不可能な「建替」を考えるよりは、 事で建物の再生を図る方が,はるかに経済的で現実性のある唯一の方法なのです。これから,各マンションでは全面改修工事までを見据えた長期修繕・資金計画が必要となります。一時期に数十戸の仮住居を確保したり、多額の資金明達を考えると、建替問題を含めて行政なりの公的機関の本格的支援が必要だと思います。これらの支援を全く受けずに、全面改修工事を行えるマンションは極めて限られ、多くはスクラップ化の道を辿るでしょう。

建物の価値とは

 建物の価値は必ずしも新築時に決まるものではなく、その後のメンテナンスで大幅に変る事となります。逆に新築時の価値はメンテナンスの容易さが価値決定の大きな要素となり、寿命を左右します。
 あり得ないメンテナンス・フリーでは無く、メンテナンス・イージーな建物で、少なくとも,百年単位で使え建物を考えて行きたいものです。現在国会で200年住宅が審議されています。質量を含めた社会資本の充実に繋がって行くものだと思います。現在、既に存在するマンシ主ンを膨大な不良資産とせず、有効な社会資本の蓄積として価値を高め活かして行く事が、リフォーム・メンテナンスの役割なのです。

以上


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