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【02・姿勢を正そう】


浅い呼吸は病気の受け皿
 姿勢の良い人の呼吸を測定すると、深く大きな呼吸をしていることが分かります。一方、猫背の人の呼吸を測定すると、呼吸が著しく浅くなっていること(胸式呼吸)が分かります。このことから、東洋の呼吸法に詳しい村木弘昌博士は、浅い呼吸は病気の受け皿である。「体動が少なく、神経を酷使する仕事は呼吸を浅くする、知らぬ間に力のない呼吸になっている、そうした場合、血液の循環もまた低下する。このような生活は、知らぬ間に生体の運営を低下させ、体細胞の生命力にまで悪い影響を及ぼす」と警告しています。
 浅い呼吸は、酸素不足につながるまた、呼吸が浅くなると、血液中の酸素が不足気味になり、脳の働きが低下することも知られています。
 良い姿勢から深い呼吸はリラックスをもたらします。姿勢の矯正効果を研究している生理学者のラプラースとニコルソンの両氏は、成人男女23名について良い姿勢を指導して実践させました。その結果、呼吸循環機能に大きな改善が見られました。結果は、肺活量・循環機能の効率・呼吸の深さともに大きく向上しました。呼吸数だけは下がりましたが、これは呼吸が深く安定していることを示しています。深い呼吸には、病を防ぐだけではなく、副交感神経を活性化し精神をリラックスさせる効果があることが知られています。日常的に深い呼吸を行なうためには、まず姿勢を正すことが必要になるのです。

姿勢と病気の関係
 姿勢を語る上で重要なポイントとなるものが背骨です。背骨は最上部で頭を支え、人間の体を垂直に立たせる柱の役目を果たしています。しかし、背骨は体を支えるだけのものではありません。 背骨の中には上から下まで通じている穴があり、その中には脊髄と呼ばれる太い神経の束が通っています。脊髄からは左右に神経が分かれ、その末端は体中に広がっています。人間が生きていくための脳からの指令は、脊髄を通って内臓などに伝達されています。しかし、猫背などの悪い姿勢習慣は、脊髄や脊髄から伸びる神経の通り道をゆがめてしまいます。すると、脳からの指令が正しく伝達されにくくなり、数々の症状や病を引き起こす原因となってしまいます。背骨のゆがみと病との関係は、現在まだはっきりとわかっていない部分が多々ありますが、背骨のゆがみが引き起こすと考えられている症状には、頭痛や肩凝り、腰痛、目の痛み、胃の痛み、倦怠感、さらには呼吸器や消化器の疾患、心臓病などがあります。中には、背骨のゆがみが200以上の病の原因となると指摘する医学者もいます。骨のゆがみが原因と考えられる症状は頭痛、肩凝り、目の痛み、怠感、アレルギー、呼吸器の疾患、消化器の疾患、心臓病、糖尿病、腰痛などです。        
 東洋医学的に見ても、神経が背骨から出る穴=椎間孔(ついかんこう)には、愈(ゆ)と呼ばれるツボが分布しています。主なものには、肺愈(はいゆ)、心愈(しんゆ)、胆愈(たんゆ)、脾愈(ひゆ)、腎愈(じんゆ)などがあります。この愈のところに異常が現われると、関連する臓器に影響が出ると言われています。また、悪い姿勢は、骨や関節、神経などを傷めたり、疲労などの原因にもなります。                                     
 例えば、パソコンに向かってのデスクワークを想像してみましょう。椅子に浅く腰掛け、背中を丸めた猫背の姿勢、脚を組んでずっと同じ姿勢でキーボードを叩いている。きっと、こんな状態で1日を過ごしている人も多いのではないでしょうか?このような姿勢は一見楽に感じるかもしれませんが、実は体に大きな負担をかけています!背骨の一つ一つを連結する椎間板は、腰を曲げたりすると大きな圧力がかかり、変形しています。
 楽な姿勢で椅子に座ったときと、背筋を伸ばして座ったときで、この椎間板にかかる圧力はどう変化するのでしょうか?結果は、背筋を伸ばした座り方が、一番背骨への負担が少なく、逆に一見楽に見える姿勢の方が、椎間板への負担が大くなっていました。特に猫背で椅子に座った状態では、立って20kgの物を持った時と同じ圧力がかかっていました。
 椎間板の圧力比較(基準値)背筋を伸ばすが100、後ろにもたれる120、猫背 140筋肉からは疲労物質が生じるのに対し、背骨からは疲労物質が生じないため、背骨に負担がかかっても疲労を感じません。しかし、背骨に不自然な力がかかるような状態が続くと、神経が炎症を起こしたり、痛みが起こったりするようになります。
 さらに、猫背だと、背中の僧帽筋への血液の流れも悪くなるため、肩凝りなども起こりやすくなるのです。こういったことを防ぐために、例えばパソコンを使う人ならば、椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばしましょう。モニターを左右片方に置かず、正面に置きます。また、足を組むと、骨盤や背骨、頭蓋骨が傾いてしまうので、できるだけ足を組まない方がよいといわれています。こういったことに気を付けることで、悪い姿勢による弊害を抑えることができます。
 パソコンに向かうときのポイントトしては、椅子に深く腰掛ける、モニターは正面に置く、できるだけ足を組まないことである。正しい姿勢は疲労しにくいというのは、スポーツなどにおいても言えることです。例えば、有名なバレリーナである森下洋子の場合、バレエのレッスンは多いときで1日に13時間に及んだと言う方ですが、これだけのハードなレッスンをこなせる秘密も姿勢にありました。彼女は「良い姿勢でないと疲れて、とても続かない」と話しています。ただし、いったん作られてしまった姿勢のゆがみは、風邪などと違い、自然治癒することはあまりなく、放っておくとどんどんひどくなることが多いと言われています。そこで必要になってくるのが、積極的に姿勢のゆがみを正すことです。正しい姿勢を作るには、多くの病が骨のゆがみによって引き起こされるが、逆に姿勢を正し、背骨のゆがみを直すことによって、病が治るということもあるのでしょうか?答はYESです。
 今から100年以上前、アメリカのダニエル・パーマーは、ある重大な発見をしました。パーマーには、知り合いに難聴の男性がいましたが、その男性の背骨に、異常があることに気付きました。ある日パーマーは、男性の背骨の異常ある部分に刺激を与えてみました。すると―驚くべきことに、難聴だった男性の耳が聞こえるようになってしまたのです。
 この後、パーマーは脊椎と病気や痛みのと関係を研究し、一つの治療法を作り上げました。それが、今日「カイロプラクティック」と呼ばれる、背骨のゆがみを矯正し、神経生理機能を回復させる治療法の始まりとなっています。
 日本ではカイロプラクティックは民間療法として位置付けられていますが、アメリカ、カナダ、スウェーデン、スイス、オーストラリアなどの先進国、およびWHOでは、その効果の高さから、正規の医学として認められています。
(ただし、確かにカイロプラクティックは一定の効果が認められていますが、これはあくまで西洋医学的な対症療法にすぎないとも言われています。)
 気功で丹田を鍛える ところで東洋においては、姿勢を正すといったとき、注目されるポイントがあります。それが「丹田(たんでん)」です。通常、丹田といった場合、下丹田、つまり下腹部を指します。一説によれば、ここに力を入れると、健康と勇気を得ることができると言われています。
この「丹田」について、九州大学名誉教授、池見酉次郎博士は、こう語っています。「東洋的な行法の中核になるのは、いわゆる「肚(はら)」の練磨であり、臍下丹田(せいかたんでん)に心と体を安定させるために腰骨を立て、下腹を締めます。座禅の際の調身によって、正しい姿勢を保持で背中の一部の筋肉と両手の筋肉以外のすべての筋肉の緊張は、すっかりほぐれ、下半身、特に臍下丹田に力が込もった姿勢になり、調息は、このような丹田力を強めるものとなります。
 以上のように、脊椎(せきつい)を伸ばし、姿勢を整えることは、心身セルフコントロールの軸となるものです。これによって脳の働きが安定し、自然呼吸が促され、背筋の安定によって全身のリラックスができやすくなります。」
 江戸時代の儒学者である貝原益軒は、三千年の伝統を誇る中国の漢方医学書や養生書などをもとに『養生訓』を著わしたことで知られています。(この『養生訓』には、数々の健康維持の秘訣が隠されていると言われ、現代でもこの書物に注目する医学者は少なくありません。)姿勢と丹田、そして呼吸の重要性について、『養生訓』ではこう記されています。                             
 「常に腰を正しく据え、気を丹田に集中し、呼吸を静かにして荒くせず、事に当たっては、胸中から少しずつ何回かに分けて空気をロヘ吐き出す。胸中に気を集めず、丹田に気を集める。このようにすれば、気は昇らないので胸も騒がず、体に力がわくのである。身分の高い人に対して物を言うときにも、また重大な異変に臨んで気が気でないときにも、このようにすべきである。 また、導士の気を養うのも、僧の座禅するのも、皆、気を臍下に収める方法である。これは、主静(雑念を去り、心を静かに保つ修養法)の工夫、術者の秘訣である」「東洋的な行法の中核になるのは、いわゆる「肚(はら)」の練磨であり、臍下丹田(せいかたんでん)に心と体を安定させるために腰骨を立て、下腹を締めます。座禅の際の調身によって、正しい姿勢を保持するための背中一部の筋肉と、両手の筋肉以外のすべての筋肉の緊張はすっかりほぐれ、下半身、特に臍下丹田に力が込もった姿勢になり、調息は、このような丹田力を強めるものとなります。
 以上のように、脊椎(せきつい)を伸ばし、姿勢を整えることは、心身セルフコントロールの軸となるものです。これによって脳の働きが安定し、自然呼吸が促され、背筋の安定によって全身のリラックスができやすくなります。

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