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【11・魅力のステージウオーターフロント】


 ウォーターフロントという言葉がはやってきた。ジオフロント(地下空間)、スカイフロント(宇宙空間)と並んで、未来を切り開く三大フロントの一つといわれている。わかりやすくいうと、水辺のデザインのことである。 
 いま、わが国の都市の水辺が大きく変わろうとしている。都市計画の一つとして、身近な水辺をコミュニティの中に取り入れる。あるいは、従来なら産業・運輸の用途以外は締め出されていた港湾地域を人間の住む場所として作りかえて行くこんな動きが、いま盛んである。水は物質や人を運び、街と街とを結び、港と市場が人々を呼び集める。こうして生まれた都市の臨海部は、産業の発展とともに工業用地に生まれ変わり、護岸で仕切られ水辺が失われてしまった。
 水の持つさまざまの機能が、都市に住む人と産業活動を水に結び、それが都市の個性を創り出すことに、いま改めて人々が気付き、水辺に都市を再開発することが盛んになってきたのである。東京臨海部副都心計画をはじめ、MM21、舞浜、幕張新都心、テクノポート大阪などが実現している。
 過年私は、北米ニュー・オリンズのリバーショップとボストンのファニュエル・マーケットプレイスと二つのウォーターフロントを見てきた。ファニュエル・マーケットはダウンタウンと一体化して開発を進め、その後のチェールズ・タウンやネービーヤード・ファンピア等のプロジェクトを含めた、ボストン臨海部再開発の代名詞にもなっている。
 ボルチモアのインナーハーバー開発も「全米で最も人が集まる場所」とまで評されている。カナダ・トロントのハーバーフロント開発も忘れてはならない。ハイクラスの住宅(アパートメントハウス)の後方に、世界最高の構造物であるCNタワーがそびえ立つことでよく知られている。ディベロッバーや建築家にとっては、大きなビジネスチャンスとなっているウォーターフロントが今、本格的な幕開けを迎えた。ウォーターフロントは面白いのである。完全に荒廃し打ち捨てられた港湾領域を相手に、都市開発にきわめて楽観的な見通しを持って、公的資金を惜しみなく注いで再開発してきたのが北米のウォーターフロント開発であるとしたら、わが国の事情は政治と産業界の風向きを見ながら、内需拡大という社会的、経済的要因をにらみつつ、やや強気に帆を上げて来たといった状況である。長引く不景気のため、その歩みははかばかしくは無いが、水辺の都市のアメニティを高める公共の資源として、ウォーターフロントは普遍的な魅力に富む人間のためのステージである。ヴェニスの美しい運河の水辺はよく知られているが、過年私が訪れたサンアントニオの水辺の空間も誠に魅力的である。テキサス州のメキシコに近い人口150万人(アメリカでも15指の中に入る)の街サンアントニオのセンターに、アントニオ川が流れ,その水を灌漑用水とするため周囲に運河を作ったのが始まりである。今では街の中央の街路から階段で降りると運河沿いの散歩道に出られる.忙しいセンター地域とレクリエイション空間とが、立体的に見事に結び付けられている珍しい空間である。人々がくつろぎながら,美しい水辺での生活を英語とスペイン語で楽しんでいる。防災的に見てもこの空間は望ましいものだ.わが国にもこのような水辺の空間をもっともっと創ろうではないか。


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